ある精肉店のはなし

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岡山の天神山文化プラザで「ある精肉店のはなし」という映画を
観てきた。
タイトルから想像して、屠畜の映画なのだなという
くらいの気持ちでいた。

私たち人間にかぎらず、毎日毎日なにかの命を取って
生かされているのだということを今更深く胸に刻めた。
強い衝撃のような刻みだった。

冒頭から屠場のシーン。とても怖いなどと言えない。
真剣に全身全霊で屠畜作業をする姿に圧倒された。
大阪府貝塚市の北出精肉店の家族のあたたかいやりとりの中
屠場のシーンは最初と最後に登場する。
最初に見た時と最後に見た時の感じ方がまるで違う。
「いただきます!」という言葉は命をいただくということなのだ。

牛を割って枝肉にするまで
なんとも切ないが、職人たちの姿は神々しい。

この映画はいろいろな側面がある。
●江戸時代末期から営々と続く北出家の家族の歴史
●屠場で屠畜をするという職人の魂
●牛は鳴き声以外捨てる所がないという、皮なめしからの祭り太鼓の出来るまで
●部落問題や差別

命と向き合い、家族が支えあい食肉の仕事を
ただ機会的に続けてきたのではなく
感と経験と知識ある知恵を武器に全身全霊で
自分が生まれでた場所で
自分を生きる

職人家族の100年以上の歴史
うらやましいくらい愛に溢れていた。

生きるということを見た気がした。
心から手を合わせ「いただきます」と言いたい。

ふだん、小さい魚をさばくことはあっても
肉は加工されきれいにスライスされたものをいただく
テーブルにのるまでには、こんなにも命のやりとりがあるのだと
なんだか衝撃だった。
だのに最後の屠畜シーンを見る時には
食い入るように
どこも見逃さないように
もっと見ていたいような
表現しにくいが
不思議な気持ちだった。

明るい人達で、笑いが起こるシーンもあった。

見に行けてよかった。

この映画を世に出してくれた
はなぶさ あや監督
制作スタッフのみなさま
そして北出家のみなさまに感謝いたします。

皆さまも機会があれば
ぜひお勧めいたします。

命と愛に溢れています。